結構イイ加減節

教養一般新書結構イイ加減節

〜世相語から見た戦後日本〜

  • 著者:土方 草介
  • 新書: 237ページ
  • ISBN-13:978-4903859231
  • 発売日: 2008/7/15
  • 定価:1,050円

 
 
世情の流れを、新しいカタチで通観しようと試みた。思いは日常生活から出ている。 戦後の、たかだか六十年余りを範囲とした。 「S20年代」と「その後」との対比をもくろんだ。世相語と川柳を配置した。 世相語は、語尾に「時代」が付く寸言から選んだ。世態人情の変わり目を告げる「警句派流行語」でもあった。廃れ言葉となった時期の多くは、明らかでない。前後の流れから見当をつけるしかなさそうだ。 当初は、あるがままに、年表のカタチに並べる構成を試みた。個々の重みに違いはあっても、「ヒト・コト・モノ」が連関したはずの描写なら、多くの世相語を収めれば、中心的傾向は、時代の底流にほぼ適合すると期待した。列記してみた。俯瞰するには用語の数が多すぎた。過半数を割愛した。それぞれにある多特性を解き分ける力量もない。 固有名詞を通して眺めるカタチは、「なまじっか」ではいけないので、なるべく避けた。 世相語も補遺の文意も、ほとんどを、「定期刊行物、テレビ、ラジオ」に求めた。 個人的な知見を粗方とする独白部分は、ゴシック体になっている。 年次の表示に続く各節では、時勢の点描に向けて、多くの人が口にした諸事を載せている。 個々の収録を思い付いたのは、昭和三十年代の半ばごろだった。敗戦にさかのぼる言い回しは、世に、まだ、ざらにあった。占領下の世相語の一部は、「大きな声では言えない陰の声」でもあったようだ。 全体に及ぶ収録では、冗漫にならないよう、何らかの共通性を認めた世相語は、出来るだけまとめて並べた。幾年かを経て反復された同語も同義語もあったが、これも一部を割愛した。結果として、選択の一部に個人の作意が加わっている。 浦之助の「時事川柳、生活川柳」等は、腕の立つ人たちが投句している「新聞や雑誌と、全国へ向けたテレビ」で披露された作品から抜き出して主とした。 駆出し者の川柳も添えた。 参考にして重立った書物は()内に示した。まったくの外題学問でも、時代観察の役に立つ部分があった。 戦後の立ち上がりを知らない人々に、どのような刺激をもたらすだろうか。「変化や前触れ」の有無を探るには、全体を削りすぎたかも知れない。 ともかく、先輩からつながる事情は、視野は限られていようとも、多くの人に語り継がねばならないと思うようになっていた。

著者について

土方 草介(ひじかた そうすけ)

土方 草介(ひじかた そうすけ) 1933 年、(旧)恩方村、(現)東京都八王子市の一画、に生まれた。出生地の気風は多くの農村に共通するとして映画と本で全国の各地に紹 介されたが、その後、当地の異名は死語になった。東洋紡績(株)に勤務後、出向の形で中小企業を転々とした。染色加工では、生育環境によっても薬品に対する性質が微妙に変わる綿に、尽きない興味を持ち得た。

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