―日本型経営に欠かせないジェネラリストの存在―
年功序列制の下では、ある年齢に達すると、管理職になることが前提になっており、そのため四十歳前後でスペシャリストであることを放棄する。スペシャリストでなくなった後は、ジェネラリストとしての仕事が待つ。ジェネラリストという言葉は、欧米ではまったく使われない、いうなれば和製英語だが、日本型経営に特有のものであり、日本人の人格的根幹にかかわる深い意味を持つ。 欧米企業では、経営者をはじめ各部門のマネジャーもみなスペシャリストである。だから、ITによるネットワークが組みやすいが、柔軟性を欠く。ジェネラリストはアナログ的であり、スペシャリストと同じようにはいかない。しかし、ジェネラリストこそ、日本が海外に誇れる素質なのだ。 ジェネラリストに求められるのは、豊かな教養に加え、問題を俯瞰する力と予測力である。それには、これまで人材教育ではあまり重視されなかった情報力が重要な意味を持つ。グローバリゼーション時代には、海外ビジネス部門だけでなく、会社全体がグローバル・センスのある世界標準企業にならねばならない。日本型経営の良さを維持するためにも、いまこそ真のジェネラリストの育成に力を入れるべき時代が到来した。
平田 周