1 はじまり
「ナミちゃん、占いのセンセイが40歳になったら目からウロコが落ちて、自分のあるべき姿が見えてくるんだって」
ある日、姉のナチコが7年前に、母と2人で私のことを占ってもらいに行ったときの事を何気なく話した。
私ナミコは、昨年国際結婚したが、現在、鬱病(うつびょう)の回復期。一応、医師免許を持っている半出戻り状態の39歳の女性なのだ。
ナチコは私の歳を忘れていたのにポロリと話が出たのだ。「40歳!もうすぐじゃないの、自分のあるべき姿?なんだか責任感を持つ感じで、怖いわぁ」というのが、第一印象。
この鬱病という曲者は、回復期が非常に大事で、元気になってきたところで、さてまた元のデューティーワークに戻らねばとあせる。すると、せっかく登った坂を、ころころ転がり落ちて、前より深いネズミ返しがついた壷に落ち込んでしまうのである。十年前の経験で、実証済だ。
「仕事に戻らなきゃ」
とあせりにあせり、とうとう入院。頭の両方から、なんだか電気まで通電していただいたり、結局、薬をがぶ飲みしたりなまじ医療の知識があるので、睡眠剤は意味がないが、これなら逝ける薬を知っていたので、あのころのことを思い出すと、嫌な汗がオヤジ臭のように漂ってくる。そして結果、鬱病のコアがずっと残って、時々もぐらたたきゲームのように病状が頭を出し、早くにハンマーで退治できればよいが、今回のように、にっちもさっちも行かなくなり、急遽チケットを送ってもらい、飛行機で成田へご帰還となってしまったりする。
しかし、
「分かっちゃいるけどやめられない」
そこはやはり本人あせるのか
「実家でゴロゴロしているだけで、こんなんでいいんでしょうか」
と、毎週治療に通っている。これまでに初めて出会った
「この人すごい!」
の精神科のセンセイに確認し
「わがままだと思っても、今は自分のしたいことだけして、ゆるゆる暮らしてて下さい」
との免罪符を頂き、精神の水戸黄門の印籠状態としている今日この頃なのだ。
「控えおろう、この鬱病診断が目に入らぬか!ゆるゆる暮らしていいのである!」
ある日、姉のナチコが7年前に、母と2人で私のことを占ってもらいに行ったときの事を何気なく話した。
私ナミコは、昨年国際結婚したが、現在、鬱病(うつびょう)の回復期。一応、医師免許を持っている半出戻り状態の39歳の女性なのだ。
ナチコは私の歳を忘れていたのにポロリと話が出たのだ。「40歳!もうすぐじゃないの、自分のあるべき姿?なんだか責任感を持つ感じで、怖いわぁ」というのが、第一印象。
この鬱病という曲者は、回復期が非常に大事で、元気になってきたところで、さてまた元のデューティーワークに戻らねばとあせる。すると、せっかく登った坂を、ころころ転がり落ちて、前より深いネズミ返しがついた壷に落ち込んでしまうのである。十年前の経験で、実証済だ。
「仕事に戻らなきゃ」
とあせりにあせり、とうとう入院。頭の両方から、なんだか電気まで通電していただいたり、結局、薬をがぶ飲みしたりなまじ医療の知識があるので、睡眠剤は意味がないが、これなら逝ける薬を知っていたので、あのころのことを思い出すと、嫌な汗がオヤジ臭のように漂ってくる。そして結果、鬱病のコアがずっと残って、時々もぐらたたきゲームのように病状が頭を出し、早くにハンマーで退治できればよいが、今回のように、にっちもさっちも行かなくなり、急遽チケットを送ってもらい、飛行機で成田へご帰還となってしまったりする。
しかし、
「分かっちゃいるけどやめられない」
そこはやはり本人あせるのか
「実家でゴロゴロしているだけで、こんなんでいいんでしょうか」
と、毎週治療に通っている。これまでに初めて出会った
「この人すごい!」
の精神科のセンセイに確認し
「わがままだと思っても、今は自分のしたいことだけして、ゆるゆる暮らしてて下さい」
との免罪符を頂き、精神の水戸黄門の印籠状態としている今日この頃なのだ。
「控えおろう、この鬱病診断が目に入らぬか!ゆるゆる暮らしていいのである!」