一九九五年、夏。
夫の出張に同行して、イギリスのカントリーサイドを三週間旅した。
アメリカ、オーストラリア、アフリカ、ニュージーランド、カナダと、様々な国の人と共に美しい農場を眺め、フィッシュ・アンド・チップスをつまみながら夕暮れの街をそぞろ歩き、川沿いのパブでビタービールを飲んだ。
それぞれの国の人がイギリスに対して、それぞれ異なった想いを抱いている。
そしてイギリス人は「イギリス人であること」に強い誇りを持って生きていた。
カントリーサイドの小さな旅から「かつての大英帝国」「世界の兄貴分」「骨董品の国」または「不味食大国」を再発見するイギリス紀行。
八木 眞知子(やぎ まちこ)